背泳ぎドリルで泳速を高めよう!骨盤リズムと腕回転の手順とキック配分

backstroke-race 水泳のコツ

背泳ぎは水面に仰向けで浮き、見えない水を感じ取りながら直線を描く種目です。腕だけで進むのではなく、骨盤がつくるローリングが腕回転とキックを導きます。とはいえ、プールで実際に組み立てると、視線や手の入水角、キックの強さ配分で迷いが出やすいのも事実です。

この記事では迷いを減らすために、背泳ぎドリルを「骨盤リズム→キャッチ→キック→統合→メニュー→エラー修正」という順に並べ、現場でそのまま使える手順と目安をまとめました。
読むだけでなく、今週の練習票に数行写して、翌週に小さく編集していくと、泳速と安定が同時に底上げされます。

  • 骨盤から始めるローリングで腕とキックを導く
  • ドリルを役割で分類し置き換えを容易にする
  • キックの打数とストローク数の関係を整える
  • ターンと浮き上がりでラインを崩さない
  • 週次テンプレで現実の時間に合わせて編集
  • よくあるエラーを段階で直して安全に伸ばす
  1. 背泳ぎドリルで泳速を高めよう|Q&A
    1. 水平姿勢を安定させる呼吸リズム
    2. 骨盤→胸郭→肩の順で回すローリング
    3. ヘッドポジションと視線の使い方
    4. 水平ラインを崩さないキックの角度
    5. キャッチ開始の合図とテンポ設定
      1. 手順ステップ(姿勢づくり)
      2. ミニ用語集
  2. ストロークの質を上げるドリル群:キャッチからリカバリー
    1. 片手背泳ぎで接水を高める
    2. フィン付きテンポ練で軌道を固定
    3. スカーリングでキャッチ角を整える
      1. ミニチェックリスト(ストローク)
  3. キック配分と足首の柔らかさ:フラッターを磨く
    1. 打数とストローク数の関係を整える
    2. 足首可動域を増やす簡易ドリル
    3. 壁蹴り後の無駄な減速を減らす
      1. 比較ブロック(板キックと仰向けキック)
      2. ベンチマーク早見(キックの目安)
      3. Q&AミニFAQ
  4. 背泳ぎドリルの統合:タイミングを一枚で揃える
    1. 三拍子テンポで腕と骨盤を同期
    2. リカバリー長短の使い分け
    3. ターン進入でラインを保つ
      1. 有序リスト(統合ドリルの流れ)
      2. よくある失敗と回避策
      3. ミニ統計(練習の傾向)
  5. 練習メニュー設計:週次の器と現場の編集
    1. 初心者〜中級者の週3テンプレ
    2. 中級〜上級の分割とペース配分
    3. 道具の使い分けと安全余白
      1. 手順ステップ(当日の編集)
  6. エラー修正と安全管理:長く速くを両立する
    1. 肩の違和感が出た時のチェック
    2. 腰が沈むときの原因と処置
    3. 大会前2週間の過ごし方
      1. Q&AミニFAQ
      2. 比較ブロック(痛み対応と放置)
      3. ミニチェックリスト(安全管理)
  7. まとめ

背泳ぎドリルで泳速を高めよう|Q&A

背泳ぎの土台は「浮く→回す→伸びる」の順で生まれます。最初に浮力と骨盤リズムをそろえ、次に肩ではなく胴で回し、最後に前方へ伸びる時間を丁寧に取りましょう。視線は天井の一点、胸は軽く上向き、肋骨は締めて腰を沈ませません。
ここが整えば、後のドリルは少ない回数で効果が表れます。

水中姿勢は足先まで一直線に近い形が理想です。骨盤の前傾と後傾を行き来させ、自然な小さなローリングを作ります。肩だけ回すと蛇行しますが、骨盤を先に回すと頭は静かに残り、直進性が高まります。短い距離で良いので、最初の10mは姿勢だけに集中し、腕は添える程度で進みましょう。
姿勢に集中する時間を毎回確保すると、習熟が速くなります。

浮力は胸と肺で生まれます。息を吸い込みすぎると腰が反り、足が沈みます。軽く吸って静かに吐きながら、胸郭を水面近くに保ちます。足先は過度に出さず、水面直下で薄くキックします。
薄いキックは抵抗を増やさず、姿勢の維持に役立ちます。

ローリングは左右で対称を狙います。右腕が水をとらえるとき、左腰がわずかに沈み、反対側では逆になります。この交互運動が背泳ぎの進行を滑らかにします。腕だけを速く回すと、骨盤の信号が途切れて肩に負担がかかります。
回す速度より、回す順序を整えることが第一です。

水平姿勢を安定させる呼吸リズム

背泳ぎは口鼻が水上にあるため、呼吸が自由に思えますが、リズムが乱れると姿勢が崩れます。2〜3ストロークに一度の小さな吸気を基本にし、吐く時間を長めに取りましょう。吸気で胸が持ち上がりすぎると腰が沈みます。吐きながら骨盤をわずかに前傾させ、肋骨を締める意識で水平を守ります。
呼吸は速さではなく、量とタイミングです。吸いすぎず、吐きすぎず、等間隔に置くと直線は保たれます。

骨盤→胸郭→肩の順で回すローリング

ローリングは三段階で伝えます。最初に骨盤を1、次に胸郭を2、最後に肩を3と数え、1→2→3の順に小さく連鎖させます。肩から始めると背面の反りが強くなり、手先が外へ流れます。骨盤から始めると腕は自然に内側へ導かれ、キャッチの位置が安定します。
25mの前半で1→2→3を強調し、後半は自由に泳いで差を体感すると、順序の価値が分かります。

ヘッドポジションと視線の使い方

頭は天井の一点に置く気持ちで、首を動かしすぎないようにします。視線が泳ぐと身体は蛇行します。耳は水に半分浸かり、後頭部は軽く水に沈む程度で十分です。顎を引きすぎると呼吸が浅くなり、上げすぎると腰が落ちます。
鏡のない世界で姿勢を管理する唯一の窓が視線です。天井に線があれば、それを使って直線を習慣化しましょう。

水平ラインを崩さないキックの角度

キックは膝から下だけを動かす意識ではなく、股関節から薄く振る感覚です。膝が深く曲がると脛が抵抗になり、進みません。足首は柔らかく伸ばし、足の甲で水を押し返します。
上げるときは水を切る、下げるときに水を押す。この二拍のコントラストを薄く保つと、姿勢の揺れが減り、腕の仕事が楽になります。

キャッチ開始の合図とテンポ設定

キャッチは手首からではなく前腕で水を捉えます。入水は小指側から静かに入れ、肘をやや曲げて前腕の面で水に当てます。テンポは上げすぎず、骨盤の1→2→3に合わせます。
メトロノームアプリで三拍子を設定し、骨盤・肩・手の順で合図を合わせると、腕だけの回転が減り、推進力が滑らかに積み上がります。

手順ステップ(姿勢づくり)

1) 天井の一点を決めて視線を固定する。

2) 骨盤→胸郭→肩の順に小さく回す。

3) 吐く時間を長くし胸の浮力を一定にする。

4) キックは股関節から薄く二拍で振る。

5) 入水を静かにして前腕で水を捉える。

ミニ用語集

  • ローリング:胴体の左右回旋のこと。
  • 前傾・後傾:骨盤の角度を示す表現。
  • キャッチ:水を捉え始める局面。
  • 二拍キック:片腕一回転に二回のキック。
  • テンポ:ストロークの時間的リズム。

注意:腰や首に痛みがある日は、骨盤の回旋を小さくし、テンポを落としてください。
違和感が持続する場合は無理をせず専門家に相談しましょう。

姿勢とローリングが整えば、腕は水に自然と導かれます。次章では、キャッチからリカバリーまでの軌道を確かめるドリルを選び、短時間で質を上げる方法を示します。
道具があってもなくても、狙いは同じです。

日によって波はありますが、順序を守ることで平均点が上がります。平均点の底上げは、ベスト更新の最短距離です。
今日の練習票に、姿勢づくりの5手をそのまま書き写してください。

ストロークの質を上げるドリル群:キャッチからリカバリー

ストロークの質を上げるドリル群:キャッチからリカバリー

腕の仕事は「入水→キャッチ→プル→プッシュ→リカバリー」の連続です。ここでは接水感覚軌道の再現を狙い、短い距離で効果が出るドリルを選びます。目的は筋力ではなく感覚の上書きです。
ドリルは疲れる前に止めて、良い感覚のまま通常泳へ戻すのがコツです。

キャッチを良くする最大の鍵は前腕の角度です。手のひらだけで水を押すと滑ります。前腕全体をパドルのように使い、肘は落としすぎず、肩は楽に。
リカバリーの手は水面すれすれに軽く運び、入水の位置を毎回そろえましょう。

肩が重い日はプルの距離を短くし、キャッチ角とテンポを優先します。フィンやスノーケルを使っても構いません。
道具は感覚を強調するためのハイライト。つけたまま長く泳ぎ続けないのが鉄則です。

片手背泳ぎで接水を高める

片手だけで泳ぎ、反対の腕は太ももに添えます。キャッチの位置と前腕の角度に集中でき、骨盤のローリングとの同期が見えます。キックは薄く保ち、テンポは遅めにして丁寧に水を送ります。10〜15mを数本で十分。
良い感覚が出たら両手に戻し、片手で得た入水位置を再現しましょう。片手で曲がるなら、骨盤の順序が崩れています。

フィン付きテンポ練で軌道を固定

短いフィンを使い、キックで推進を確保して腕の軌道だけに意識を集中します。テンポメトロノームを使い、三拍子で骨盤→肩→腕の順に合わせます。フィンで進む分、腕は軽く回せます。
軽く回せるときほど軌道の乱れが見えます。肩がすくみやすい人は、リカバリーの肘を緩めて手の甲を外へ向けると楽に回ります。

スカーリングでキャッチ角を整える

胸の横で腕を曲げ、手のひらと前腕で小さな8の字を書くように水を感じます。背泳ぎのキャッチ角は前腕の面がやや外を向く位置。肘は落とさず、手は浅い深度で。15秒×数回で十分な刺激が入ります。
スカーリング後に通常泳へ戻すと、前腕が自然に水を掴みやすくなります。角度が分からない日は鏡プールを選ぶと学習が速いです。

ドリル名 狙い 合図 回数 注意
片手背泳ぎ 入水とキャッチ位置 骨盤→肩→腕 10〜15m×4 キック薄く
フィン付きテンポ 軌道とテンポ 三拍子 25m×4 肩力まない
胸前スカーリング 前腕角度 肘高く 15秒×4 深く潜らない
リカバリースライド 入水静音 手の甲外向き 25m×3 速度より静けさ
パドル軽負荷 面で押す感覚 肘先行 25m×3 長く使わない

ミニチェックリスト(ストローク)

  • 入水は小指から静かに。
  • 肘は落とさず前腕で捉える。
  • 骨盤→肩→腕の順を崩さない。
  • リカバリーは水面すれすれ。
  • 道具は短時間で切り上げる。

「片手背泳ぎを10mやってから両手に戻すだけで、入水位置が毎回そろいました。余計な力が抜けて、25mの後半でも腕が軽く回ります。」

ストロークの質は、キャッチの角度と入水の静けさで決まります。焦って回転数を上げるより、同じ軌道を淡々と重ねる方が速くなります。
次章では、その支えとなるキックの設計を整理し、配分と足首の柔らかさを磨きます。

腕が整うと、キックの重要性が浮き彫りになります。推進の主役ではなくても、姿勢とタイミングの土台です。
薄く、途切れず、骨盤に従うキックを作りましょう。

キック配分と足首の柔らかさ:フラッターを磨く

背泳ぎのキックは姿勢維持テンポ提示が役割です。強く蹴るより、薄く絶えず、骨盤リズムの合図として機能させます。足首の柔らかさと股関節の支点が整うと、脛の抵抗が消え、腕の負担も減ります。
ここでは打数と配分、可動域と簡易ドリル、壁蹴り後の減速対策をまとめます。

キックは上下の幅が広いほど良いわけではありません。上下各10〜15cmの薄い振り幅で十分です。膝は深く曲げず、股関節から振る意識で。
足首は「伸ばす強さ」より「柔らかさ」を優先しましょう。柔らかい足は水を逃がさず、静かに推進を足します。

テンポは腕と一致させます。骨盤1→2→3の三拍子に、キックの二拍が薄く重なる形です。腕のテンポが上がっても、キックの幅は広げません。
幅を広げると姿勢が揺れ、直線が崩れます。

打数とストローク数の関係を整える

25mでのストローク数とキックの打数は連動します。一定のテンポで腕を回し、キックは二拍で薄く刻みます。前半で打数が増えすぎると後半で失速します。前半は抑え、後半でわずかにキックの強さを上げると、泳速は安定します。
腕が苦しいときほどキックに頼りたくなりますが、あくまで合図役。テンポの指揮者であり続けましょう。

足首可動域を増やす簡易ドリル

プールサイドで足首回しを左右各20回、つま先伸展と背屈を各10回、内外反を各10回。水中では板キックで足首を伸ばす感覚を確認し、薄い幅で上下に振ります。壁持ちキックで足の甲で水を押す感覚を磨き、膝の角度を一定に保ちます。
痛みが出るほど伸ばす必要はありません。小さく、回数で勝負します。

壁蹴り後の無駄な減速を減らす

壁を蹴った直後は身体が最も整う瞬間です。ここでキックが強すぎると姿勢が揺れ、失速します。最初の3〜5mは無理に打たず、薄い二拍で骨盤と腕の信号を合わせます。浮き上がりで息が上がるなら、呼吸のタイミングと入水位置を見直しましょう。
強く蹴る場所は中盤以降。序盤は「静かな速さ」を狙います。

比較ブロック(板キックと仰向けキック)

板キック:足首の伸びを感じやすい。
弱点:腰が反りやすいので腹圧が必要。

仰向けキック:実戦の姿勢に近い。
弱点:進みが悪いとフォームが崩れやすい。

ベンチマーク早見(キックの目安)

  • 振り幅:上下各10〜15cmの薄い振り。
  • 足首:痛みのない範囲で柔らかく伸展。
  • 二拍:片腕一回転に二回、強弱は薄く。
  • 序盤:壁蹴り後3〜5mは控えめ。
  • 後半:泳速維持のために少し強め。

Q&AミニFAQ

Q. 足が沈む。A. 吸気量を減らし、肋骨を締めて骨盤を軽く前傾。キックは幅を広げず薄く。

Q. ふくらはぎが攣る。A. 事前の可動域ドリルを増やし、水分と塩分を補う。板キックの距離を短縮。

Q. 進まない。A. 膝が曲がりすぎていないか撮影で確認。股関節から薄く振る意識へ。

キックは目立たない裏方ですが、姿勢とテンポの整備士です。強さでなく質で勝負すると、肩と首の余計な力が抜けて、キャッチが楽になります。
次章では、背泳ぎドリルを一枚にまとめ、タイミングを同期させる練習を組みます。

薄い二拍に骨盤の三拍子を重ねると、泳ぎは音楽のように滑らかに流れます。
テンポが整うと、疲れても崩れません。

背泳ぎドリルの統合:タイミングを一枚で揃える

背泳ぎドリルの統合:タイミングを一枚で揃える

個別の技術がそろったら、次は同期です。ここでは三拍子の合図を中核に、骨盤・腕・キックの時間軸を重ねます。目的は「同じ順序で長く泳げること」。個々の速さではなく、連鎖の流れを崩さないことが成果を生みます。
合図が一枚になると、練習の疲労も半分に感じます。

統合練習では、距離を短く刻みます。25m×8本のように回数を増やし、毎本のテーマを一つだけに絞ります。最初の2本は姿勢、次の2本はキャッチ、次の2本はキック、最後の2本は全体。
一本ごとに「できたこと」を三語でメモしましょう。

統合に使う道具は軽いものから。フィンや軽パドル、スノーケルは感覚を増幅しますが、必ず外して通常泳に戻します。
道具から通常へ、通常から道具へ。行き来が統合の質を上げます。

三拍子テンポで腕と骨盤を同期

メトロノームを三拍子に設定します。1で骨盤、2で肩、3で手。キックは二拍で薄く刻み、1と3の裏に置くイメージです。これだけで腕の回転が骨盤の合図に乗り、肩のすくみが減ります。25mを8本、前半4本はテンポを遅め、後半4本は少し上げます。
テンポを段階で変えると、崩れやすい速度域が見えます。見えた速度は来週の宿題です。

リカバリー長短の使い分け

リカバリーを長くすると入水の静けさが増し、短くすると回転数が上がります。前半は長め、後半はやや短めにして、入水位置を毎回そろえます。肩が重い日は長めでやさしく、レースペースでは短めで回転を上げます。
長短の切り替えができると、環境やコンディションに左右されにくくなります。

ターン進入でラインを保つ

背泳ぎはフラッグからのカウントが命です。自分のストローク数を決め、3本前で準備、2本前で身体を固め、1本前で最後の一掻きを終えます。進入で顎を上げると腰が落ちるので、視線だけを高くして身体のラインは維持します。
壁を蹴った直後は薄い二拍で伸びを保ち、浮き上がりの入水を静かに合わせます。

有序リスト(統合ドリルの流れ)

  1. 25m×8本で毎本のテーマを一つに。
  2. 三拍子メトロノームで骨盤→肩→手。
  3. 二拍キックは薄く裏拍に配置。
  4. 前半は長いリカバリー、後半は短め。
  5. 道具あり→なし→ありで感覚を往復。
  6. ターン前の本数を決めて進入を固定。
  7. 三語メモで次の一手を言語化。

よくある失敗と回避策

失敗:合図が増えすぎて混乱。
回避=合図は三拍子だけに絞り、他は消す。

失敗:道具をつけたまま長距離。
回避=短距離で効果を確認し、すぐ通常へ戻す。

失敗:ターンで顎が上がる。
回避=視線だけ上、胸と骨盤は水平を維持。

ミニ統計(練習の傾向)

  • 25m分割×8〜12本で感覚の再現性が上がる。
  • 三語メモの継続で翌週の修正が速い。
  • 道具の短時間使用は通常泳の質を高める。

統合は「削る作業」です。合図を増やすほど泳ぎは遅くなります。三拍子と二拍を重ね、長短のリカバリーを使い分け、進入の本数を固定する。
これだけで、背泳ぎは静かに速くなります。

次章では、週間メニューに落とし込み、忙しい日でも流れを途切れさせない設計を示します。
紙でもスマホでも、書ける形が最善です。

練習メニュー設計:週次の器と現場の編集

良いドリルも、週の器に収まってこそ効いてきます。ここでは頻度の維持編集の速さを優先し、週3〜5回のメニュー例を示します。各回は「姿勢→ドリル→通常泳→統合→緩和」の順で構成。
距離は少なくても、順序が同じなら成長は積み上がります。

練習は「決めた通りにやる」より、「決めた枠を少し編集する」方が続きます。混雑や体調に応じて、ドリルの本数や道具の有無を変えてください。
大きな変更は不要です。枠を守り、小さく替えるだけで十分です。

各回で必ず「今日は何を強調するか」を一語で決めましょう。姿勢、キャッチ、テンポ、進入など。
一語の焦点が、一本一本の質を上げます。

初心者〜中級者の週3テンプレ

月・木・土の三回を想定します。1回45〜60分。毎回、姿勢づくりを最初に配置し、短いドリルで感覚を上げ、短距離の通常泳で再現します。最後に統合の25m×数本。緩和は浮きと呼吸。
三回が難しい週は二回へ圧縮し、統合の本数を増やして質を守ります。

中級〜上級の分割とペース配分

週4〜5回なら、姿勢×2、ストローク×2、統合×1の配分が扱いやすいです。レースペースは統合日の後半だけに限定し、普段は質の再現に徹します。ターン練は毎回少量でも良いので入れ続けます。
ピーク期は距離を絞り、テンポと進入に焦点を集めます。

道具の使い分けと安全余白

フィンはテンポ練の補助、軽いパドルは前腕の面感覚、スノーケルは姿勢と呼吸の整理に使います。どれも短時間で効果を確認し、通常泳へ戻します。
肩や腰に違和感が出たら、道具は外し、テンポを落として感覚の確認へ切り替えましょう。

曜日 焦点 メニュー例 本数 備考
姿勢 姿勢→片手→通常→統合 25m中心 三語メモ
ストローク スカーリング→テンポ→通常 25〜50m 道具短時間
統合 三拍子→長短→進入 25m×8〜12 進入固定
キック 板→仰向け→通常 短距離反復 薄い幅
回復 浮き→呼吸→軽泳 気分で 無理しない
  • 統合日は距離より再現性を優先する。
  • 道具は「あり→なし」を一往復する。
  • 各回の最後に三語メモを書く。
  • 混雑日は置き換え候補を先に決める。
  • 進入の本数を固定して記録する。

手順ステップ(当日の編集)

1) 焦点を一語で決める。

2) ドリルの本数を±2本で微調整。

3) 道具は短時間で切り替える。

4) 統合の本数は固定して質を比べる。

5) 三語メモで次回の一手を残す。

メニューは器です。器が同じなら、少しの編集で質は守れます。距離に縛られず、再現性を指標にしましょう。
最後に、長く速く泳ぎ続けるためのエラー修正と安全管理を整えます。

疲れた日は短く、元気な日は少し長く。
幅の中で整然と揺れるのが継続のコツです。

エラー修正と安全管理:長く速くを両立する

成長は波形です。波の底で焦って負荷を上げると痛みが生まれ、波の頂で慢心すると崩れが長引きます。ここでは肩と腰の違和感対策姿勢の崩れ直し大会前の整えを扱います。目的は「中断しないこと」。
泳げば強くなるのではなく、泳ぎ続けるから強くなります。

痛みの多くは順序の崩れから来ます。骨盤より先に肩を回す、入水で手を叩きつける、キックの幅を広げるなど。順序を戻すだけで消える違和感は多いです。
痛みが続くときは練習を切り上げ、評価を受けましょう。

疲労管理は眠りと食事です。背泳ぎは肩周囲の回復に時間が必要です。睡眠時間を30分延ばす、就寝前のスマホを10分減らす、塩分と水分をこまめに入れる。
小さな工夫が、翌日の統合練の成功率を上げます。

肩の違和感が出た時のチェック

入水で手を叩いていないか、リカバリーで肩がすくんでいないか、キャッチで肘が落ちていないか。三点を撮影で確認します。違和感がある日は、スカーリングと片手で角度を確認。パドルは外し、テンポを落とし、距離は短く。
翌日に引きずる痛みなら、道具なしの姿勢練と呼吸で終了し、専門家に相談します。

腰が沈むときの原因と処置

吸いすぎ・顎上げ・膝曲げの三つが主因です。吸気量を減らし、肋骨を締め、顎は水平を保ちます。キックは股関節から薄く。板キックで足首を柔らかくし、仰向けキックで実戦の姿勢へ戻します。
腰が沈む日は速度を求めず、直線の再現を優先します。直線が戻れば速度は勝手に戻ります。

大会前2週間の過ごし方

距離を徐々に減らし、統合の質を上げます。一週目は通常の70〜80%、二週目は50〜60%。三拍子テンポと進入本数を固定し、短い成功体験を重ねます。睡眠のリズムを整え、食事は消化の軽いものへ。
新しい道具は使いません。慣れたものだけで静かに仕上げます。

Q&AミニFAQ

Q. 肩が重い日。A. リカバリー長め、片手→通常の往復で角度だけ確認し距離を減らす。

Q. ターンで迷う。A. フラッグからの本数を決め、毎本口に出して数える。

Q. 練習が続かない。A. 三語メモに切り替え、成功を毎回一つだけ書く。

比較ブロック(痛み対応と放置)

対応:順序を整え距離を減らす。
効果:中断なく翌週へつながる。

放置:速度を優先して継続。
結果:崩れが固定化し回復が遅れる。

ミニチェックリスト(安全管理)

  • 痛みは翌日に残るかで判断する。
  • 合図は三拍子以外を捨てる。
  • 道具は短時間で必ず外す。
  • 睡眠と水分を先に整える。
  • 三語メモで気づきを残す。

安全は速さの前提です。速く泳ぐ日より、翌日も泳げる日を積み重ねましょう。小さな勝ちを途切れさせない人が、季節の終わりに必ず伸びます。
次の章で、今日の読みを一枚にまとめます。

結局のところ、強みは「続く仕組み」です。
静かに、長く、そして確実に積み上げましょう。

まとめ

背泳ぎは、骨盤で始まり腕でつなぎキックで整う泳ぎです。背泳ぎドリルは、姿勢とローリングで直線を作り、前腕で水を捉え、薄い二拍で合図するための道具にすぎません。三拍子の合図と二拍のキックを重ね、リカバリーの長短と進入本数を固定すると、練習は静かに効き始めます。
週の器は「姿勢→ドリル→通常→統合→緩和」で十分です。

道具は短時間、三語メモを続け、痛みは順序を戻して距離を減らす。これらの小さな約束が、翌週の質を保証します。
今日のプールでは、最初の10mを姿勢だけで進み、片手→通常の往復を2セット、最後に三拍子で25m×4本を試してください。来週はそのまま、ほんの少しだけ編集しましょう。