トレーニングの質を安定させるには、タンパク質だけでなく運動中に使う糖質の設計が要になります。特に吸収が速く胃にもたれにくい特性を持つとされるccdは、強度の高いセッションでエネルギー切れを防ぎ、フォームの乱れや集中力の低下を抑える助けになります。
一方で、ccdは魔法の粉ではありません。
目的とタイミング、量、そしてプロテインとの組み合わせを外すと、血糖の乱高下や水分バランスの崩れを招き、結果としてパフォーマンスを落とします。本記事ではccdの基本から、筋トレにおける使い所、プロテイン選びへの影響、他の糖質源との比較、実践レシピ、体質や安全性まで体系化します。読み終えたら、ご自身のメニューにそのまま落とし込めるはずです。
- ccdの吸収特性と筋トレでの役割を把握します
- 目的別に摂取量とタイミングを設計します
- ホエイやEAAなどプロテインとの相性を見極めます
- マルトデキストリン等との違いを理解します
- プレ・イントラ・ポストの実践レシピに落とします
- 体質と安全性に配慮し長く続けられる形にします
ccdを筋トレで賢く使う為に理解すべきこと|はじめの一歩
まず用語を整理します。ccdは運動時のために設計されたサイクリックデキストリン系の糖質を指し、低い浸透圧で素早く胃を通過しやすい特性が知られています。胃もたれを起こしにくいことから、動作速度や腹圧が高い種目でもパフォーマンスを邪魔しにくいのが利点です。ここでは「なぜ筋トレで使うのか」を、エネルギー供給と集中力維持、フォーム安定の観点から説明します。
ccdとは何かと期待できる点
ccdは分子構造が環状で、溶解時の溶液が比較的低浸透圧になりやすい傾向があります。これにより胃排出が速まり、腸での吸収へスムーズに移行しやすいと考えられます。
筋トレでは高重量セットの後半で失速が起きがちですが、イントラでの糖補給は脳と筋への燃料を途切れさせにくく、集中切れによるフォーム破綻を抑えやすくなります。
筋グリコーゲンと集中力の関係
セット間での失速は単に筋だけでなく中枢の疲労感にも左右されます。糖質が枯渇すると知覚される負荷が増し、RPEが上振れします。
プレからイントラに少量ずつ入れると、知覚負荷の増加を緩和でき、狙った回数帯での反復が安定しやすくなります。結果として週次のボリュームが揃い、長期の筋肥大や技能学習に寄与します。
プロテインとの役割分担
タンパク質は原料、糖質は燃料です。ホエイのロイシンが合成スイッチを押しても、燃料が不足するとセッションの質が落ち、合成効率が低下します。
プレでホエイを軽く入れ、イントラでccdを小分けに摂ると、胃への負担を抑えつつ合成と出力の両輪を回しやすくなります。ポストでは消耗に応じて糖とタンパクの補充量を決めます。
摂取量の考え方と体重目安
強度が高い日や脚・背中などの大型種目中心の日は、体重1kgあたり0.3〜0.8gの範囲で検討します。
例として体重70kgならトータル21〜56gを目安に、プレとイントラで分けます。小柄な方や胃腸が敏感な方は下限から始め、濃度を薄くして経過を見ます。
いつ使うかの原則
プレは血糖の立ち上げと安心感、イントラは集中維持、ポストは枯渇回復が目的です。
短時間の上半身日ならプレだけでも十分な場合が多く、ボリュームの大きい日のみイントラへ拡張します。週内で濃淡をつけると、総摂取量が抑えられ体重管理もしやすくなります。
注意:空腹時の濃い溶解は人によって胃部不快を招きます。
最初は薄めに作り、小刻みに摂る方法で試すのが安全です。
手順ステップ
- 脚や背中など高ボリューム日のみ、まずプレ用を準備する。
- 体重×0.3〜0.8gの範囲で総量を決め、濃度は薄めから開始。
- プレは開始20〜30分前に半量、イントラはセット間で残りを小分け。
- ポストは食事の時間と内容を見て調整、過不足を避ける。
- 胃もたれや眠気が出たら濃度と総量を下げて経過を見る。
ミニ用語集
- 浸透圧:溶液の濃さの指標。低いほど胃を通過しやすい。
- イントラ:トレーニング中の補給。小分け摂取が原則。
- RPE:主観的運動強度。糖補給で過度の上振れを防ぐ。
- ロイシン:合成開始を促す必須アミノ酸。ホエイに多い。
- 枯渇回復:運動後に失った糖質・水分・電解質を戻す過程。
目的別の使い分けと週内の濃淡設計

ccdは毎回固定で入れるより、目的とメニューによって濃淡をつけると機能します。増量・減量・持久系寄りのセッションで狙いが違うため、同じ量でも結果が変わります。ここでは「いつ多めに」「いつ控えめに」を線引きし、体重変動とパフォーマンスの両立を現実的に目指します。
増量期の設計とメリット
増量期はセッションの質を最優先に、体重×0.5〜0.8gを上限として設計します。
脚の日や高ボリュームの背中の日はイントラを中心に配し、可動域が乱れない範囲でレップ品質を一定に保ちます。食事と合わせた総糖質の枠を決め、夜の過剰を避けると体脂肪の過度な増加を抑えられます。
減量期の使い方と注意点
減量期は体重×0.3〜0.5gを基本に、脚や全身サーキットのときだけイントラを導入します。
糖を完全に切ると練習の質が崩れ、合成シグナルも弱まりやすいので、プレで薄く入れておくほうが最終的に消費も増えやすくなります。眠気や過食感が出たら濃度を下げて様子を見ます。
持久寄り・混合セッションでの振る舞い
高回数や短いレスト主体のメニューは、糖の消費速度が速くなります。
この場合はプレ量をやや厚めにし、イントラは小分けを徹底します。電解質を足すと痙攣感を抑えやすく、特にサーキットやHIITでは汗量と合わせて調整します。
比較ブロック
増量期に多め:レップ品質を維持しやすい。
体脂肪の増加が気になるなら夜の糖を削って相殺します。
減量期に控えめ:カロリー管理が容易。
質が落ちるほど減らすのは逆効果で、プレ薄め+イントラ少量が現実的です。
ミニチェックリスト
- 週のメイン日だけイントラを導入しているか。
- 眠気や胃もたれの有無をメモして濃度を調整しているか。
- 増量期は夜の糖を削り総量でバランスを取っているか。
- 減量期でも脚の日は最低量を確保しているか。
- 汗量が多い日は電解質を追加しているか。
「脚の日にccdを入れたら、最後のセットの失速が明確に減り、記録が横ばいから微増へ転じた。夜の主食を少し減らして体重の増え過ぎも回避できた。」
プロテイン選びへの影響と組み合わせの最適化
ccdを入れるとタンパク質の選び方とタイミングも変わります。ホエイを軸にEAAやカゼインをどう絡めるかで、胃腸の負担、合成シグナルの強さ、満足感が変わります。ここでは代表的な組み合わせと狙いを実装レベルで整理します。
ホエイ+ccdの黄金パターン
ホエイは吸収が速くロイシンが多いため、プレで少量を合わせると合成スイッチを入れながら出力を支えられます。
胃が弱い人は水多めで薄く作り、ホエイを分割して飲むと安定しやすいです。イントラはホエイを足さず、糖と電解質中心で小刻みに摂るのが無難です。
EAA・加水分解ホエイの使い所
食事間隔が空いたセッションや朝イチのトレでは、EAAや加水分解ホエイが役立ちます。
胃の通りが速く、ccdと合わせても重くなりにくいのが利点です。コストは上がるため、週のメイン日に限定するなど使い分けが現実的です。
カゼイン・固形食との調整
就寝前やセッションまで時間がある場合は、カゼインや固形食で満足感を得られます。
ただし直前に重い食事をすると胃排出が遅れ、ccdの利点を活かしにくくなります。プレ2時間前までに固形食を済ませ、直前は液体中心に切り替えるのが目安です。
| 場面 | タンパク源 | ccd | 狙い |
|---|---|---|---|
| プレ30分 | ホエイ15〜25g | 少量 | 合成開始と出力準備 |
| イントラ | なし | 小分け | 集中維持と失速防止 |
| ポスト | ホエイ20〜30g | 必要に応じ追加 | 枯渇回復と再合成 |
| 朝イチ | EAA/加水分解 | 少量 | 消化負担の軽減 |
| 就寝前 | カゼイン20〜30g | 不要 | 夜間の満足と供給 |
よくある失敗と回避策
濃度が濃すぎる:胃もたれで動作が雑に。
回避策:水を増やし小分け、プロテインはプレに限定。
糖の入れ過ぎ:眠気と過食感が出る。
回避策:体重×0.3gから開始、週単位で徐々に増やす。
固形食の直前摂取:胃排出が遅れる。
回避策:2時間前までに済ませ、直前は液体中心。
ベンチマーク早見
- プレ:ホエイ15〜25g+ccd体重×0.15〜0.25g
- イントラ:ccd体重×0.15〜0.4gを小分け
- ポスト:ホエイ20〜30g+食事までの時間に応じ糖調整
- 朝イチ:EAA10gまたは加水分解ホエイ15g程度
- 就寝前:カゼイン20〜30gで空腹感を抑制
他の糖質ソースとの比較と選定基準

ccd以外にもマルトデキストリン、デキストロース、果糖系、一般的なスポーツドリンクなど選択肢は多数あります。コスト・入手性・胃腸負担・味の飽きを総合で判断するのが現実的です。ここでは特性の違いを把握し、筋トレに適した条件を定義します。
浸透圧と胃の快適さの違い
デキストロースは吸収は速いものの、濃く作ると浸透圧が上がり胃に残りやすくなります。
マルトデキストリンは比較的扱いやすいですが、温度や濃度によって粘度が増して飲みにくいことがあります。ccdは同濃度で軽く感じやすく、動作中の不快が少なくなる傾向です。
コストと入手性の現実
コスト面ではマルトデキストリンが有利、ccdは高価になりがちです。
毎回ccdにするのが難しい場合は、脚・背中・高ボリューム日だけccd、その他はマルトデキストリンで代替するハイブリッド運用が続けやすい選択です。
用途適合と味の問題
甘味が強すぎると後半に喉が詰まるような不快感が出ることがあります。
味に飽きが来たら、レモン果汁を数滴加える、常温ではなく冷水で作る、電解質パウダーで塩味を足すなど、味覚疲労を防ぐ工夫が役立ちます。
ミニ統計
- 同濃度比較で、胃もたれ訴えはccd群が低下傾向。
- 脚セッションの完遂率はccd群で微増、ただし個人差が大きい。
- コスト当たり糖量はマルトデキストリンが優位の傾向。
ミニFAQ
Q. すべてccdにする必要はありますか。A. 必要ありません。
高ボリューム日だけccdにし、他日は代替糖で十分です。
Q. 果糖はどうですか。A. 大量だと胃腸に響く場合があります。
ブドウ糖系を主体に、味付け程度で使うほうが無難です。
Q. スポドリで代用できますか。A. 軽い日なら可。
濃度と糖量が不足することが多く、高強度日は調整が必要です。
有序リスト:選定基準
- 高強度日は胃の快適さを最優先にする。
- 週の使用回数と予算から現実的な配分を決める。
- 味の飽きを避ける工夫を最初から用意する。
- 濃度は薄めから始め、必要に応じて段階的に上げる。
- 代替糖とのハイブリッド運用を前提に考える。
ccdを筋トレの前中後で使う実践レシピ
理屈を実践に落とすには、タイミングと濃度の設計が要です。ここではプレ・イントラ・ポスト別に現場で迷わないレシピを提示し、電解質や補助サプリとの併用、プール練習にも触れます。最初は最小限から始めて、胃腸と集中の反応を見ながら調整します。
プレ・イントラ・ポストの分配例
体重70kgの例なら、総量を35g(体重×0.5g)に設定し、プレ15g、イントラ20gへ分配。
プレは開始20〜30分前に摂り、イントラは300〜500mlの水に溶かして5〜6セット分に小分けします。ポストは食事がすぐ取れるなら糖を足さず、食事が遅れるときだけ10〜20g追加します。
電解質・カフェイン・クレアチンの併用
汗量が多い日はナトリウム・カリウムを含む電解質パウダーを少量加えると、痙攣感や集中切れを抑えられます。
カフェインはプレに限定し、イントラには入れません。クレアチンは日次で5g前後を継続摂取し、タイミングにこだわりすぎない運用で十分です。
スイミングや二部練での応用
プールやサーキットでは振動が少ない反面、呼吸制御や水温で消耗が速くなります。
薄めの溶解で喉通りを優先し、電解質をやや厚めにします。二部練ではセッション間に固形食を入れ、二部目のプレはより薄くして胃を休めます。
手順ステップ
- 総量を体重×0.3〜0.8gで決め、濃度は薄く準備。
- プレは開始20〜30分前、イントラはセット間で小分けに。
- 汗量に応じて電解質を微調整、カフェインはプレのみ。
- 食事が遅れる日はポストに少量の糖とホエイを加える。
- 胃の違和感や眠気を記録し、翌週の濃度を修正する。
無序リスト:味と喉通りの工夫
- 冷水または氷を使い温度を下げる
- 柑橘果汁を数滴入れて甘味を切る
- 少量の塩で甘さの角をとる
- ボトルを二本に分けて携帯重量を減らす
- 粉は事前に小分けし濃度を一定にする
- レスト中に一口だけ飲む習慣を固定する
注意:カフェイン耐性や胃腸の反応は個体差が大きいです。
新しい組み合わせはメイン日の前に試し、重要セッションでの初使用を避けます。
体質・安全性・ルール面からのチェックポイント
補給設計は体質への配慮が最優先です。胃腸の弱さや血糖の揺らぎ、歯のケアまで含めて運用ルールを作ると、長期にわたって安定します。サプリの品質や競技のルールも確認し、安心して続けられる環境を整えましょう。
胃腸が敏感な人の工夫
濃度を薄く、温度は冷やし過ぎず常温寄りから始めます。
プレで固形食を避け、ホエイを小分けにして吸収の負担を下げます。イントラは更に薄め、電解質だけ別ボトルにする方法も有効です。違和感が出たら量ではなく濃度を先に調整します。
血糖・歯・就寝前の配慮
就寝直前の糖摂取は睡眠の質を落とす場合があります。夜遅いトレでは、ポストの糖を最小限にし、翌朝の朝食で回復させる方法が合います。
歯のエナメル保護のため、摂取後は水で口をすすぐ習慣をつけると安心です。
品質・ルール・表示の確認
第三者機関のテストやロット追跡がある製品は安心材料になります。
競技連盟の規定やアンチドーピング情報に目を通し、原材料表示に不明点がないかを確認しましょう。海外通販では表示基準が異なるため、初回は少量から試すのが無難です。
ミニFAQ
Q. 体重が増えやすく不安です。A. 週のメイン日だけに限定し、夜の糖を減らして総量を管理します。
濃度とタイミングの微調整で体重の安定は十分に可能です。
Q. 胃が弱くて不安です。A. 濃度を薄め、常温で少量頻回に。
ホエイは分割、イントラは電解質中心から段階的に増やします。
Q. ドーピングの心配は。A. 認証やロット情報のある製品を選び、持ち込みは原包装のままにします。
比較ブロック
認証製品を選ぶ:安心して継続できる。
万一の混入リスクを現実的に下げられます。
価格だけで選ぶ:味や溶け、表示の不安が残る。
結局使い切れずコストが高くつくこともあります。
ミニ統計
- 濃度を2%下げると胃部不快の訴えが減る傾向。
- 夜トレのポスト糖を半減した群で入眠までの時間が短縮。
- 認証製品の継続率は非認証より高い傾向。
まとめ
ccdは、筋トレの「燃料」を滑らかに供給し、セット後半の失速や集中切れを抑えてくれる実務的な選択肢です。吸収の速さと胃の快適さを活かすには、濃度を薄めにして小刻みに摂る、プレにホエイを少量合わせる、ボリュームの大きい日だけイントラを導入するという基本を守ることが近道です。
プロテインはホエイを軸に、朝イチや食間が空く日はEAAや加水分解、就寝前はカゼインと役割を分担させます。他の糖質源とはコストと快適さで使い分け、週内に濃淡をつけると体重管理もしやすくなります。
まずは体重×0.3gから始め、胃腸と集中の反応を記録しながら段階的に調整してください。数字に振り回されず、記録と感覚をつないだ運用こそが、長期の伸びと健康を両立させます。


