「今日はどこまで上げるか」「何回で止めるか」「合計ボリュームは足りているか」を素早く判断し、フォームと疲労を壊さない範囲で進行させるのが狙いです。現場で迷わないための段取りを用意し、思考コストを最小化しましょう。
- 1RM換算とRPE/回数の関係をひと目で参照
- セット進行の合図を数値から素早く把握
- 男女や目標別の相対強度を柔らかく活用
- バーとプレートの組みを最短手順で決定
- 疲労とフォーム崩れを簡易指標で補正
- アップからトップセットまでを段取り
- 停滞時の調整ラインを早見で確認
デッドリフトの早見表で重さを決める|基礎から学ぶ
早見表は「迷いを減らし、決断を速める」ための道具です。まずは1RM換算とRPE/回数の対応を共通言語にし、アップからトップセット、バックオフの配分まで一連で決めます。重さを当てにいくのではなく、フォームの再現性と疲労管理を守るために使うのが要点です。
| 目安%1RM | 概算RPE8 | 概算RPE9 | 想定回数域 | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| 92〜95% | 2〜3回 | 1〜2回 | 1〜3回 | トップセット |
| 85〜90% | 3〜4回 | 2〜3回 | 3〜5回 | 強度維持 |
| 80〜85% | 5〜6回 | 4〜5回 | 4〜6回 | 主力域 |
| 72〜78% | 7〜8回 | 6〜7回 | 6〜8回 | 技術/量 |
| 65〜70% | 9〜10回 | 8〜9回 | 8〜10回 | ボリューム |
| 55〜60% | 12〜14回 | 10〜12回 | 10〜14回 | 血流/回復 |
注意:%とRPE/回数の対応は個人差が前提です。睡眠・栄養・温度・バー種別(パワーバー/デッドバー)で体感は揺れます。
同じ%でも日によってRPEが1段ずれるのは自然な反応なので、表は開始位置の目安として扱い、セット中に微修正してください。
早見表で決める範囲
当日のトップセット重量、バックオフの%と回数、合計ボリュームの下限を先に置きます。アップはバーベルから3〜5段で同じ動きを積み重ね、トップでRPE9に近づけるかはその日の速度で決めます。
表は「止め時」の確認にも使い、好調だけでの上振れを避けます。
アップからトップの導線
バー→60%→70%→80%→90%のように刻むと、毎回のセットでフォームを同一化できます。
80%を越える段からは、足圧の移動と背面の張りが崩れないかを動画で確認し、RPEの自己申告を合わせ込みます。
バックオフの意味
トップ後に-10〜-15%下げてセットを積むと、技術の再現を保ちながら必要量を確保できます。
高頻度の週はバックオフを短く、低頻度の週は少し長めにして総疲労を均します。
疲労とフォームのガード
腰背部の張りが抜ける、バーが脛から離れる、膝が早く伸びるなどの兆候は、表の%よりも休息や終了を優先すべき合図です。
数字は攻めるためでなく壊さないために使いましょう。
RPE/RIRの合わせ方
RPEは主観、RIRは余力回数の推定です。速度が明確に落ちたらRPEを1段引き上げ、次セットの%を微調整します。
自己申告と動画の速度のズレを小さくするほど、表の再現性は上がります。
手順ステップ(早見表の実装)
- 当日の上限RPEを決め、目標回数域を選ぶ
- 表から概算%を引き、アップの段取りを作る
- トップセットでRPEと速度を照合して微修正
- バックオフは-10〜-15%で必要量を確保
- 終了基準(速度低下/張り消失)を守って締める
1RM換算と回数の目安をシンプルに整理

1RM換算は「いまの回数×重量」を、最大挙上力の推定へ写すための便宜値です。厳密さよりも、日々の進捗を同じ物差しで比べられることが価値になります。ここでは回数と%の関係を滑らかに捉え、過剰な追い込みを避けるための境界線を引きます。一貫性と安全余裕を意識して使いましょう。
ミニ統計(進捗の読み方)
- 同RPEでの+2.5kg更新は有意な進歩
- 同重量での+1〜2レップ増も同等の価値
- 睡眠不良は体感で-1RPE相当の悪化
- 高温多湿は速度低下を誘発しやすい
- 週トータルの有効セット10〜16で反応
比較ブロック(%1RMと目的)
高%(85〜95%)
- 神経系とピークの練習
- 回数は1〜3回で収める
- 頻度は低め、週1〜2回
中%(75〜85%)
- 技術と力発揮の両立
- 回数は4〜6回が主力
- 週2回でも維持しやすい
低%(60〜70%)
- フォームとボリューム確保
- 回数は8〜10回で管理
- 回復や再学習に有効
ミニチェックリスト
- 同RPEで比較しているか
- 速度低下が境界線を超えていないか
- 週の合計レップが増え過ぎていないか
- 疼痛や違和感に応じて即時調整したか
- 翌日の疲労指標をメモしたか
換算のブレへの対処
換算値はあくまで推定です。アップからの速度、動画のフォーム、グリップの粘りを合わせて判断すると、単独の数字より再現性が高まります。
上振れた日は次回に期待値を持ち過ぎず、下振れた日はフォームの維持を最優先にして切り上げます。
回数の天井と床
床引きは疲労コストが高いため、長すぎるセットはフォーム崩れのリスクが上がります。
同一重量で8回を超えるなら重量を上げ、3回を割るならセット意図を見直しましょう。
週のボリューム設計
主動作と補助(RDLやブロックプルなど)を合わせて、下半身の有効セットが10〜16に収まる範囲が現実的です。
フォームに自信がない時期は、主動作の%を下げて回数を抑え、補助で量を確保します。
RPE別の実戦テーブルと回数調整
RPEは当日の主観的な限界距離を言語化する指標です。速度や張りの消失、グリップの粘りと照合し、同じRPEでも日内でのズレを許容して運用します。ここではRPEごとの回数域と用途を手早く引けるよう整理し、微調整の具体例を添えます。短時間の判断が進捗を守ります。
有序リスト(RPE運用の型)
- RPE7:フォーム学習と速度確認に活用
- RPE8:主力セット、再現性を優先
- RPE9:上限近くの確認、頻度は低め
- RPE10:テスト限定、連投は避ける
- 迷ったら一段低いRPEで継続
- 動画と自覚のズレを毎回校正
- 張り消失や痛みはRPEに優先
ミニFAQ
Q. RPEが毎回ぶれるのは問題?
A. 正常です。アップの速度とトップセットの動画で基準を毎回合わせれば、数週で安定していきます。
Q. RPE8と9の境目は?
A. 速度の明確な失速、張りの抜け、グリップの粘りのどれかが出はじめたら9寄りと見なします。
Q. RPEと%はどちらを優先?
A. その日の体調を反映するRPEを優先し、%は開始位置の目安として扱います。
よくある失敗と回避策
毎回追い込み:RPE9以上の連投は回復を阻害。週内で強弱をつける。
速度無視:主観だけで判断すると過小/過大評価に。動画で補正する。
グリップ軽視:粘りの低下は全体の失速サイン。早めに終了する。
回数調整の具体例
RPE8で5回×3の予定が、1セット目の速度低下が大きい場合は、重量を-2.5〜-5kgして4回×3へ切り替えます。
逆に速度が保てる日は同重量で+1レップの範囲に留め、翌週へ期待値を残します。
当日の役割分担
トップセットで神経系を刺激し、バックオフでフォームの再現を積みます。
RPE9に到達したら追加の上振れは狙わず、翌週の成功確率を高める配分に回します。
RPE校正の習慣
アップからトップまで各1本で動画を撮り、セット後に主観と速度を必ず突き合わせます。
この校正を続けるほど、早見表の精度は上がります。
プレート組み合わせ早見とロードの最短手順

床引きは準備の段取りが長いと集中が切れます。そこでバー重量を固定し、左右の合計を素早く決めるためのプレート組み早見を用意します。最小手数でロードし、ミスを防ぐ配置を覚えると、セット間のテンポを保てます。
| 目標総重量 | バー20kg時左右合計 | 片側例 | 代替例 |
|---|---|---|---|
| 100kg | 80kg | 20+10+10 | 15+15+10 |
| 120kg | 100kg | 20+20+10 | 25+15 |
| 140kg | 120kg | 20+20+20 | 25+20+15 |
| 160kg | 140kg | 25+20+20 | 25+25+15 |
| 180kg | 160kg | 25+25+20 | 25+20+10+5 |
| 200kg | 180kg | 25+25+25+10 | 25+25+20+5 |
ベンチマーク早見(片側の並べ方)
- 25kgは最内側、次に20kg、その後10/5/2.5
- 同径の大板を優先し、半端は外へ
- 左右は必ず同じ順序で挿入
- カラーは早めに固定し回転を防ぐ
- 片側の総和を声に出して確認
「並べ順を固定しただけで、ロードミスが消えました。テンポが整い、トップセットでも焦らず入れます。」
ロードの段取りと安全
プレートは大→小の順でまとめて運び、バーへは片側ずつ交互に入れて床の偏りを減らします。
腰を丸めて引き抜かず、膝を曲げて近づき、脛の近くへ寄せて扱うと腰背部の負担を抑えられます。
ハーフやブロックでの変換
ブロックプルやハーフでは同じ%でも体感が軽くなりやすいので、早見の%から-2〜-5%で始めると安全です。
反応を見て1〜2セット内で微修正します。
バー違いの認識
デッドバーは撓みが少なく初動が重く、パワーバーは径とナールで握りの体感が変わります。
早見は開始位置の目安として、バーの個性は当日のRPEで吸収しましょう。
体格別と目標別の相対強度の読み方
相対強度は体重に対する挙上重量の比で、階級や体格が違っても比較しやすい物差しです。競技志向でなくても、進捗の可視化と過負荷の抑制に役立ちます。ここでは男女・経験・目的別の柔らかな目安を示し、数字に縛られない読み方を提案します。
ミニ用語集
相対強度:体重あたりの挙上重量。体格差を補正して比較。
作業重量:当日の主力セットで用いる重量。
進捗ライン:数週で追う更新の目安。
維持フェーズ:量を守り強度を一時的に抑える時期。
ピーク:テストや大会に向け強度を高める段階。
有序リスト(読み方の型)
- 体重×倍率で進捗ラインを置く
- RPE8の作業重量で比較する
- 週の状態で±2.5〜5kgの揺れを許容
- ピーク時のみRPE9での比較も併用
- 数字より再現性を優先して判断
注意:目安は「競争の物差し」ではなく「秩序の物差し」です。階級・年齢・歴・睡眠を無視しての単純比較は不毛です。
同じ条件での自分比を積み重ねて、気分に左右されない判断の柱にしましょう。
男女・経験別の読み替え
一般に上肢の差が大きいのに対し、デッドリフトは下肢後面の比率が高く、男女差はベンチほど乖離しにくい傾向があります。
初心者〜中級では体幹とグリップの伸びが支配的で、相対強度の更新が波打つ点を念頭に置きましょう。
目的別の使い分け
筋力志向はRPE8での相対強度を四半期で更新、ボディメイク寄りはボリュームと速度の維持を優先し、相対強度は副指標に置きます。
疲労が溜まる期間は、相対強度の停滞を許容してフォームの再現を守ります。
更新の判定
同RPE・同テンポで+2.5kg、または+1レップの更新を「進捗」と定義します。
更新のない2〜3週は負荷域やセット数の微差を試し、反応が出なければデロードを挟みます。
フォームと疲労管理で早見のズレを補正する
早見表は便利ですが、実際の現場では睡眠・温度・関節の状態で体感が揺れます。そこでフォームのガードと疲労の管理を合わせて、数字のズレを安全側へ補正します。仕上げに、セット内外で使える簡潔な工夫をまとめます。
無序リスト(セット内の工夫)
- 足圧を踵〜母趾球で往復させず固定
- バーは脛に沿わせ距離ゼロを維持
- 背面の張りを作ってから握力を固める
- 息を吸って腹圧を360度へ拡げる
- 踵で床を押し胸を潰さない
- 速度が落ちたら即座に終了線を確認
- 動画で崩れ始めのフレームを特定
ミニFAQ
Q. どの指標を最優先?
A. 張りの維持とバー距離ゼロです。速度はその次で判断します。
Q. セット間の長さは?
A. 主力域は3〜5分を目安に、息と張りが戻るまで待ちます。
Q. 手の皮やグリップの問題は?
A. 粘りが落ちる日は上限を切り下げ、ストラップは技術と目的に合わせて限定的に使います。
よくある失敗と回避策
数字優先:目安に固執してフォームを崩す。動画と張りで止め時を判断。
休憩短縮:疲労が残ったまま次へ入る。呼吸と張りの復帰を待つ。
ウォームアップ不足:同じ動きを積まずにトップへ急ぐ。段階を刻み再現性を上げる。
当日の補正ライン
寝不足・寒冷・握力不安のいずれかがある日は、表の開始%から-2.5〜-5kgで入り、RPE8の範囲で止めます。
逆に身体のキレが良い日は、RPE8で予定回数が余る場合のみ+2.5kgを一度だけ試します。
終了のサイン
バーが脛から離れる、腰背部の張りが抜ける、速度が急落するの三つのうち二つが出れば、その日の上振れは追わず終了します。
安全側の判断が次回の更新を連れてきます。
回復の扱い
睡眠と食事は数値に直結します。
炭水化物と塩分を適量入れ、入浴で体温を一度上げて落とすだけでも、翌日のRPEは一段軽くなりやすいです。
まとめ
デッドリフトの早見表は、重さと回数を「素早く」「安全側に」決めるための共通言語です。%1RMとRPE/回数の対応、プレートの並べ順、相対強度の読み方を一本の導線で使えば、判断の質が上がり停滞を短いサイクルで抜けられます。
数字は攻めるためだけでなく守るために使いましょう。動画で張りと速度を確かめ、当日はRPEで微修正し、翌週の成功確率を上げる配分へ。早見表を味方に、今日の一セットを丁寧に積み上げてください。


