デッドリフトでRMを割り出す手順を解説|計算式と疲労管理の指標早見

man-dumbbell-curl 重量換算と目安

RMは最大反復回数や最大挙上重量の目安を示す概念で、デッドリフトの練習設計やピーキングの判断に直結します。とはいえ「1回の限界」を毎回試す必要はなく、サブマックスのセットから推定する方が安全で再現性も高いです。この記事では主要な換算式の使い分け、RPEや挙上速度との関係、スタイル差の補正、週ごとの進捗管理までを網羅し、現場で迷わない決め方を提示します。読み終えたら、そのままジムで使えるチェックリストと早見基準で重量決定が素早く行えます。

  • RMは「今日の能力」を測る指標で、常に固定ではありません。
  • サブマックスのセットから推定し、翌週へ重さを接続します。
  • RPEと組み合わせると疲労を管理しつつ伸ばしやすいです。
  • フォーム差や可動域差は換算表に小さく補正を掛けます。
  • 安全基準と中止ラインを明確にして事故を防ぎます。

デッドリフトでRMを割り出す手順を解説|スタートアップガイド

RMは一定フォームで達成できる最大重量または最大反復を指し、練習設計の共通言語になります。デッドリフトは疲労影響が大きく、サブマックスからの推定が実用的です。まずは当日の体調・睡眠・前後日のボリュームを記録し、推定誤差を織り込みます。

注意:

腰背部や握力の限界で動作が乱れたRMは有効数値になりにくいです。可動域とテンポを一定化し、同一条件で測ることが必要です。

測定の工程(当日の手順):

  1. 一般ウォームアップ3〜5分の後、バーのみ〜60kgで動作確認をします。
  2. 目標重量の60%→75%→85%と上げ、各1〜3レップでRPE評価を付けます。
  3. 85〜92%で2〜3レップのトップセットを実施し、RPEと速度を記録します。
  4. 推定1RMを算出して本日の計画を決定し、補助種目へ移行します。

RMとは何かを実務で定義する

RMは「その日の環境で、指定フォームを崩さず達成できる最大値」です。1RMだけでなく3RMや5RMなども有用で、推定1RMに変換して進捗管理に使います。週内・日内の変動は普通に起こるため、記録は移動平均で評価します。

ウォームアップの設計と意図

体温を上げ、床反力の感覚をつかむのが目的です。テンポを一定に保ち、握りやセットアップの再現性を整えます。軽いセットで脊柱起立筋と臀部の協調を感じ、股関節の折り返し位置を固定します。

テストの負荷段階とRPE

85%前後はフォームが崩れにくく、RPEの感度も高い領域です。2〜3レップのトップセットから推定1RMを出すと、安全と精度のバランスが取れます。上げ過ぎは疲労を残し、翌週の練習効率を下げます。

疲労と日内変動の扱い

睡眠不足や前日のボリュームで推定がブレることがあります。移動平均(直近3〜4回)で判断すると、単発の外れ値に引きずられにくくなります。栄養と水分、握力の残り具合も併記しましょう。

安全と中止基準

背中が丸まって床離れが遅れる、バーが体から離れる、ロックアウトで止められない場合は即中止です。可動域を短縮し過ぎると比較可能性が下がります。セーフティや台の使用条件はログに明記します。

ミニ用語集:

推定1RM:サブマックスの成績から換算した推測最大値。
RPE:主観的強度の目安。残レップ数の推定に基づきます。
トップセット:その日の最も重いメインセット。
移動平均:直近の複数回の平均で外れ値を抑えます。

デッドリフトのRM換算式とモデル比較

デッドリフトのRM換算式とモデル比較

換算式はレップ数と重量から推定1RMを求める道具です。式ごとに設計思想が異なり、重め領域に強いものや中レップに強いものがあります。自分の過去データに一貫して合う式を選び、固定して使うのが精度向上の近道です。

レップ 目安%1RM 典型的な記録例 備考
1 100% 200kg×1 テスト日や試合の最大
2 95–97% 190kg×2 神経要素が強く個人差大
3 92–94% 185kg×3 推定に使いやすい領域
5 85–87% 170kg×5 ボリュームと推定の両立
8 77–80% 155kg×8 筋持久寄り、フォーム管理必須
10 73–75% 145kg×10 疲労の影響が大きい

ミニ統計(使い分けの目安):

・低レップ(1〜3)は神経系の影響で日差が出やすいです。
・中レップ(4〜6)は推定安定域になりやすいです。
・高レップ(8〜12)はフォーム差と疲労で推定誤差が増えます。

よくある失敗と回避:

失敗1:毎回違う式を使って比較 → 回避:一つに固定し、ずれは補正係数で吸収します。

失敗2:可動域や台の使用がバラバラ → 回避:条件をログに固定し、同一条件で測ります。

失敗3:握力切れで終わるRM → 回避:ストラップを使うか、先に握力を温存します。

主要換算式の考え方

式はレップ増加での重量低下率を仮定します。自分の実測と合う係数へ微調整できるアプローチが実用的です。過去3か月の記録で誤差を比較し、最も一貫性の高い手法を選びます。

換算表の扱い方

表は絶対ではなく「仮置きの地図」です。疲労や睡眠で上下に数%ブレるのを前提に、当日のRPEと速度情報で最終決定をします。表の値を鵜呑みにせず、ログと動画で確認します。

個別補正の入れ方

コンベンショナルと相撲ではレップ耐性が変わります。自分のスタイルで中レップ域の実測を集め、+1〜2%の範囲で補正を付けるとフィットしやすくなります。週ごとに係数を変えないのもコツです。

RPE・挙上速度とRMの関係

RPEは残レップの主観推定、挙上速度はバーの動きという客観情報です。両者を組み合わせると、疲労が高い日に過負荷を避けながら、軽い日に伸ばす判断ができます。目標は毎週のばらつきをならし、長期の上昇トレンドを作ることです。

メリット
当日の軽重に適応でき、怪我の回避と累積ボリュームの最適化が両立します。

デメリット
RPEの学習に時間が必要で、主観が甘いと過負荷になりやすいです。

ミニチェックリスト:

□ トップセットのRPEを記録したか □ 速度の主観(速い/普通/遅い)を残したか □ 補助種目のボリュームは計画内か □ 回復戦略(睡眠/栄養/ストレス)は確保できたか

FAQ:

Q. 速度計が無くても使えますか? A. 使えます。主観速度と動画の見返しで十分に傾向を掴めます。

Q. RPEとRMはどちらを優先? A. 当日はRPEで判断、週単位では推定1RMの移動平均を見ます。

Q. 失速したら? A. セット間を1〜2分延ばし、レップを1つ削って質を保ちます。

RPEの定義と実装

RPE8は残2レップ、RPE9は残1レップ、RPE10は限界という基準で統一します。学習初期は動画と突き合わせ、自己評価の癖を修正します。デッドリフトは疲労で主観がぶれやすいため、呼吸とセットアップの再現性が重要です。

速度指標の活用

最初の立ち上がり速度とミッドレンジの粘りで当日の状態を判断します。速度計がなくても、動画でバーと腰の同期を見るだけで有用な情報が得られます。遅い日はボリュームを先に削るのが安全です。

RPEから重量を決める

その日の目標RPEを決め、ウォームアップの体感に合わせて重量を設定します。トップセットでRPEが予定より高ければ次セットを−2.5〜−5kg、低ければ+2.5〜+5kgと細かく動かします。週の合計ストレスを一定に保ちます。

スタイル差とフォーム補正:コンベンショナル/相撲/ハイヒップ

スタイル差とフォーム補正:コンベンショナル/相撲/ハイヒップ

スタイルでレップ耐性や疲労の溜まり方が変わります。コンベンショナルは背面全体の動員で中レップに強く、相撲は可動域が短い分重めに強い傾向があります。RMの扱いはスタイル特性に合わせて微調整します。

  • コンベンショナル:中レップでの推定精度が高く、3〜5RMの活用がしやすい。
  • 相撲:重めでの精度が高く、2〜3RMからの推定が安定しやすい。
  • ハイヒップ/ハイブリッド:立ち上がり速度のブレが大きく補正が必要。
  • 混合運用:週内で双方を使う場合、記録はスタイル別に分ける。
  • 床環境:滑りやすい床は速度が鈍り、推定が下にズレやすい。

ケース:相撲で3RMの推定が低めに出る。動画確認で引き込みが速く、ロックアウトで失速していた。→ 補助にハム主導のRDLを追加し、翌月には3RM→推定1RMの誤差が改善。

ベンチマーク早見:

・コンベンショナルの5RM=概ね85–87%1RM目安。
・相撲の3RM=概ね92–94%1RM目安。
・混合期は各スタイルの推定を別トラックで管理します。

スタイル別の特性を理解する

相撲は股関節外旋と内転の協調で初動が速く、上で粘る局面が増えやすいです。コンベンショナルはミッドレンジの粘りが強みで、レップが積みやすい特徴があります。どちらも足裏の三点支持とバーの投影線の管理が共通の鍵です。

グリップと腰背部の関係

握力の消耗はフォームの維持に直結します。過度なオーバーグリップやストラップの使い分けを記録に残し、RM測定の条件として固定します。腰背部の緊張は呼吸圧で作り、ロックアウトで肩をすくめないようにします。

可動域と補助種目の合わせ方

膝下からの弱さがあるならブロックプル、ミッドレンジが弱いならテンポデッドで粘りを鍛えます。相撲のロックアウトはハムと臀の協調が鍵で、ヒップスラストやRDLのボリュームを増やすと改善しやすいです。

進捗管理の設計:周期化・疲労管理・停滞対策

RMは単発の数字ではなく、傾向線で見る指標です。週次のボリューム波とRPE目標、推定1RMの移動平均を組み合わせると、停滞や過負荷を避けながら上昇トレンドを作れます。プログラムは体調に合わせ小さく調整します。

  1. 週内の軽・中・重を配し、RPE目標を8/8.5/9程度に振り分けます。
  2. トップセットは2〜3レップで固定し、サブはレップ数でボリュームを確保します。
  3. 移動平均で推定1RMを管理し、単発の外れ値に依存しません。
  4. 停滞時は補助種目で弱点局面を鍛え、メインはレップで伸ばします。
  5. 試合前はボリュームを落としつつ強度を維持し、疲労を抜きます。
  6. 睡眠・栄養・ストレスもログ化し、重量だけの記録にしません。
  7. 月末に計画をレビューし、係数やRPE目標を微調整します。

注意:

急な重量更新は魅力的ですが、腰背部の疲労が抜けないと翌週の練習効率が落ちます。+2.5kg刻みの小さな前進を積み上げ、進捗の連鎖を切らないことが中長期の近道です。

段階的な計画(週→月の手順):

ステップ1:直近3週の推定1RMの平均を基準値にします。
ステップ2:次の3週で+0.5〜1.5%の上乗せを狙います。
ステップ3:週3本のトップセット総量を一定に保ちます。
ステップ4:補助種目で局所の耐性を強化します。

週次のボリューム波を作る

軽・中・重でRPEとレップを変え、合計ストレスをコントロールします。軽日はフォームの再学習、中日はボリューム、重日はピークに寄せます。疲労が高い週は早めに軽日へ寄せます。

テーパーとピーキング

試合2〜3週前にボリュームを落とし、強度をやや維持します。直前週はトップセットを1本にし、RPEは8.5程度に抑えます。睡眠時間を増やし、握力の回復に注力します。

停滞を破る小さな工夫

グリップの幅やシューズ、バー径を記録し、変数を一つずつ動かします。サイクル終盤に速度が鈍ったらセット間を延長し、補助を減らしてメインの質を上げます。翌サイクルで係数を見直します。

テスト当日の実務チェックと記録の残し方

良いRMテストは準備で決まります。前夜の栄養と水分、当日のウォームアップ動線、プレート配置までを整えると誤差が減ります。同一条件で比較できる記録に価値があります。

当日の優先
体温・可動域・セットアップの再現。焦らず、最初の成功体験を積みます。

翌週へ繋ぐ
失敗要因の言語化と係数メモ。改善点を一つに絞り、行動化します。

FAQ:

Q. ベルトやストラップの有無は? A. 条件を固定し、記録に必ず明記します。比較の要です。

Q. 眠い時の対処は? A. テストをやめ、フォーム練習へ切り替えます。誤差と怪我のリスクが高いです。

Q. どのくらい動画を撮る? A. 正面と側面の二方向を交互に記録し、週に最低2本は残します。

ミニ用語集:

ロックアウト:膝と股関節を伸ばし切る終点。
ブロックプル:台に乗せて可動域を短縮したデッド。
テンポ:下降/上昇の速度指定。
ピーキング:大会に向けて疲労を抜き最大値を引き出す過程。

チェックリスト完全版

前夜の睡眠7時間以上、朝食の炭水化物、ウォームアップ動線、バーのナックル位置、グリップの摩耗状態、床の滑り、プレートの枚数計算、チョークの有無、撮影位置、補助者の有無を順に確認します。

動画とログの書き方

重量、レップ、RPE、主観速度、失敗要因、フォームのメモを書きます。次回に直す項目は1つに絞り、成功した点も1つ書きます。ポジティブな学習は再現性を高めます。

事故防止の基本

背中の丸まり、バーが体から離れる、握力切れでの落下は即中止です。重量が軽いと感じても、フォームが乱れたら意味がありません。安全は最大の生産性です。

まとめ

RMは「今日の能力」を可視化する道具であり、デッドリフトの成長を方向づけるコンパスです。換算式は一つを固定し、RPEと主観速度を添えて解釈すれば誤差は小さくなります。スタイル差は小さく補正し、週次では推定1RMの移動平均で上昇を確認します。
テストは安全なサブマックス中心で、+2.5kgずつの小さな前進を積み重ねます。記録は同一条件で残し、翌週の行動に落とし込むことが成果を最短でつなぎます。今日からは「表で決める」ではなく「表を使って決める」に切り替え、再現性と伸びを両立させましょう。