そこで本記事では、スクワット平均の意味と使いどころを整理し、体重や年齢、トレーニング歴に応じた現実的なレンジを提示します。さらに、推定1RMの換算と誤差の扱い、週次・月次の更新設計までを一気通貫でまとめ、今日からのメニュー決定に迷いが生まれないように構成しました。
「平均に近づく」よりも「自分の基準を更新する」に重心を置くことで、怪我の確率を抑えながら長期の伸びを設計できます。
- 平均は指標でありゴールではないと理解する
- 体重と相対強度の関係を基準に据える
- 年齢とトレ歴でレンジが広がることを前提にする
- フォームの深さを固定して比較の土台をそろえる
- 換算式は範囲で扱い中央値で設計に落とす
- 目的別にセット数と休息を使い分ける
- 週次の小テストで平均と現在地をすり合わせる
スクワット平均を正しく読み解く|図解で理解
平均は「集団の中心」を示す便利な言葉ですが、スクワットにおいては体重・性別・年齢・トレ歴・フォーム基準で大きく動きます。
誤解を避けるために、何の平均なのかを必ず添え、同条件で比較できる土台を整えることが出発点です。
平均値と中央値の違いと使い分け
外れ値の影響を受けやすい平均値に対し、中央値は真ん中の値でばらつきに強いです。
コミュニティの投稿や大会記録は突出が混じりやすいため、中央値で目安を置くと現実的な目標線になります。
練習では「直近4〜6週の中央値」を自分の基準とし、単発の好不調をならして設計に落とすのが賢明です。
体重と相対強度で見る理由
同じ絶対重量でも、体重が違えば負担は異なります。
そこで相対強度(挙上重量÷体重)を使うと、体重帯が違う選手どうしでも比較が可能になります。
体重×1.5倍や×2倍といった表現は、体重変動がある時期でも目標を保ちやすい利点があります。
年齢とトレ歴で広がるレンジ
筋力は年齢とともに基礎回復力が変わるため、同じ練習でも結果が揺れます。
また、トレ歴1年未満は学習効果で短期に伸びやすく、3年以降は更新間隔が長くなります。
平均を盲信せず、年齢・歴に応じたレンジ幅を前提にすることで、焦りやオーバーワークを避けられます。
フォーム基準が数字を左右する
深さが数センチ違うだけで、推定1RMは数%動きます。
大腿が床と平行よりやや下を基準にし、動画角度と合図を固定して「同じ条件」で測ることが平均を正しく扱う第一歩です。
浅くなった更新は記録保留とし、翌週の再テストで確定します。
平均に頼り過ぎない設計
平均は「今の自分の立ち位置を知る」地図にすぎません。
練習設計はRPEや速度、睡眠時間と合わせて多面的に行うと、日々の最適解が見えます。
週単位で小さく前進し、四半期で平均ラインを押し上げる戦略が安全かつ安定的です。
ベンチマーク早見
- 初級の中央値:体重×0.8〜1.2倍
- 中級の中央値:体重×1.3〜1.8倍
- 上級の中央値:体重×1.9〜2.3倍
- 深さ:平行よりやや下で統一
- 測定:直近4〜6週の中央値で設計
- 更新:四半期で+2〜5%を目安
ミニFAQ
Q. 大会記録と一般の平均は並べてよいですか。
A. 条件が異なるため不可です。
大会はピーキングと装備の影響があり、一般の練習中央値とは別物として扱います。
Q. 体脂肪が変わる時期はどう比較しますか。
A. 相対強度を主指標にしつつ、同一深さの動画で確認し、短期は中央値でならします。
チェックリスト
- 比較条件に体重・深さ・足場を明記したか
- 直近4〜6週の中央値を出したか
- 浅い更新を記録に混ぜていないか
- 疲労と睡眠のメモを添えているか
スクワットの平均を算出する方法とサンプル

「平均はいくつか」を有意味にするには、データの取り方と集計手順をそろえる必要があります。
推定1RMの計算と中央値の活用、そしてサンプル表の読み方を押さえておきましょう。
自己データから平均を出す手順
まず同じ深さのトップセットを週1〜2回記録し、5RMや8RMから推定1RMを算出します。
各週の推定1RMを並べ、4〜6週の中央値を取ると、単発の好不調や計測ブレがならされます。
次に体重で割り相対強度に変換し、同体重帯の目安と比較すれば、現在地が明瞭になります。
クラス別の基準表の読み方
下表は条件をそろえたときの目安レンジです。
あくまで「範囲」であり、個体差や得手不得手で前後します。
自分の中央値がどの列に近いかを見て、翌月の設計(%と回数、セット数)に落とし込みましょう。
| 体重帯 | 初級中央値 | 中級中央値 | 上級中央値 | 備考 |
| 〜60kg | ×0.9〜1.2 | ×1.3〜1.8 | ×1.9〜2.3 | 相対で管理 |
| 61〜75kg | ×0.8〜1.2 | ×1.3〜1.7 | ×1.8〜2.2 | 体重変動に注意 |
| 76〜90kg | ×0.8〜1.1 | ×1.2〜1.6 | ×1.7〜2.1 | 可動の再現性重視 |
| 91kg〜 | ×0.7〜1.0 | ×1.1〜1.5 | ×1.6〜2.0 | 呼吸管理を重視 |
| 備考 | 大腿が床と平行よりやや下、ベルトとリフティングシューズの使用は自由 | |||
よくある誤差と補正
朝と夜、前日の脚ボリューム、シューズ、バーの種類、ラック高で推定は数%動きます。
同じ曜日・同じ時間帯で測る、動画角度を固定する、補助者の声かけを一定にするなど、誤差の出所を1つずつ潰すと中央値が安定します。
どうしても揺れる人は、前後回数からの二点推定の中央値を使いましょう。
手順ステップ
1. 週2回のトップセットを同条件で実施。
2. 推定1RMを式で計算し表に記録。
3. 4〜6週の中央値を相対強度へ変換。
4. 目安表のレンジと照合して来月を設計。
5. 浅い動画は記録保留、翌週に再測。
ミニ統計
- 同時刻測定で推定のばらつきが約20〜30%減
- 動画併記でフォーム逸脱の自己検出率が上昇
- 中央値運用で更新幅の継続性が高まる傾向
体重別・性別の目安レンジを相対強度で見る
体格差を公平に扱うには、絶対重量ではなく相対強度で比較します。男性・女性の違いや体重帯ごとの得手不得手を踏まえ、実戦で使えるレンジを提示します。
同じレンジでもフォーム基準と可動の再現性が整っていることが大前提です。
男性の体重帯ごとのレンジ
男性は体幹と股関節の伸展力が相対的に高く、上肢が弱くてもスクワットは伸びやすい傾向です。
〜60kg帯は×1.1〜1.9、61〜75kg帯で×1.0〜1.8、76〜90kg帯で×0.9〜1.7、90kg超で×0.8〜1.6が目安レンジです。
高体重帯ほど心拍や呼吸管理が影響しやすく、休息時間とセット間の体温維持が鍵となります。
女性の体重帯ごとのレンジ
女性は股関節可動と技術の習得が速い一方、最大発揮はゆっくり伸びる傾向があります。
〜55kg帯で×0.8〜1.5、56〜65kg帯で×0.8〜1.4、66kg超で×0.7〜1.3が一般的な目安です。
月経周期や鉄分の影響で日内の粘りが変わるため、回数指定とRPE管理を併用するとレンジ内での再現性が上がります。
ユニセックスな相対指標の使い道
性別や体重が違っても、相対強度×RPE×深さの三点がそろえば比較可能です。
たとえば「×1.4・RPE8・平行よりやや下」を共通言語にすると、練習の質が共有され、進捗会話が建設的になります。
絶対重量の差に目を奪われず、相対とフォームで話す文化を作るのが、長期の伸びを支えます。
比較
絶対重量での比較:直感的だが体格差を無視する。停滞時に焦りやすい。
相対強度での比較:公平で設計に落ちやすい。フォーム基準の厳密化が必要。
- 相対強度=挙上重量÷体重で算出する
- RPE7〜9の範囲で比較しやすい
- 深さは平行よりやや下を固定する
- セット間休息は2〜5分で目的に合わせる
- 動画角度は側方固定で可動を可視化する
- 更新は中央値で記録し単発を除外する
- 体重変動期は相対指標を優先する
体重が増減しやすい選手が相対強度で会話するように変えたところ、数字への焦りが減り、四半期で×0.1の安定した伸びにつながりました。
年齢とトレ歴で変わる平均の現実的な幅

平均は年齢とトレ歴で解釈が変わります。初心者期は学習効果が大きく、更新間隔が短いのに対し、中上級は更新幅が小さく、回復管理が重要です。
局面別の現実的な幅を把握して、最適な期待値を設定しましょう。
初心者から中級者への移行期
フォームが整ってくる半年〜1年で、相対強度は×0.2〜0.4程度伸びることが多いです。
ただし浅い動作での更新は統計的にノイズなので、基準深さを守り、動画とセットメモを残すことが次の伸びにつながります。
この時期は回数指定とRPEの併用で、成功体験を積みやすい設計が有効です。
40代以降の伸びと健康面
40代以降は回復力と関節の耐性が個人差を広げます。
更新幅は四半期で×0.05〜0.1でも十分価値があり、睡眠と栄養、可動の準備に投資することで安全に積み上げられます。
痛みが出た日は軽く深く速くの原則に切り替え、同日の更新を見送る判断が長期の伸びを守ります。
学生アスリートの注意点
競技練習と併走する学生期は、疲労の波が大きく出ます。
相対強度の目安は競技期で×1.2〜1.6、オフ期で×1.4〜1.8と幅をもたせ、RPE基準で調整します。
試合前はボリュームを減らし、技術の再現性を優先することで、平均値を維持しながらピークを作れます。
- 週あたりの総下半身セット数を先に決める。
- 睡眠時間の下限(例:6.5h)を設ける。
- 基準深さを動画で毎週確認する。
- 停滞時はフォームと休息を優先する。
- 四半期に一度、中央値の推移を見直す。
- 装備とラック高を固定し再現性を担保。
- 痛みのサインを早期に記録する。
注意:年齢別の比較は敬意と安全を前提に。
「若い頃の数値」に固執せず、今の身体での最適設計に切り替えましょう。
ミニ用語集
相対強度:挙上重量を体重で割った指標。
中央値:並べたとき真ん中の値。外れ値に強い。
RPE:主観的きつさ。残レップ数と対応。
RIR:残レップ数。RPEの裏表。
ピーキング:大会へ向けた調整期。
目的別に平均を超える設計:筋肥大・最大・技術
同じ平均ラインでも、狙いによって設計は変わります。
筋肥大を狙う期、最大挙上を狙う期、技術を整える期を循環させることで、停滞を避けつつ平均の土台を押し上げられます。
筋肥大を狙う場合の指標
70〜80% 6〜12回 RPE7〜9、週あたり12〜20セットが目安です。
切り返しで深さが崩れたらレップを残して終了し、バックオフでテンポ指定を入れると質が安定します。
筋肥大期で得たボリューム耐性は、次の最大期の成功率を上げます。
最大挙上を狙う場合の指標
82.5〜90% 2〜4回 RPE7〜8、休息3〜5分。
トップセットは粘らず、バックオフで70%台を技術の流しとして入れると、翌週の再現性が上がります。
速度が初速から40%落ちたら終了の合図とし、安全域を保ちます。
技術安定を狙う場合の指標
60〜70% 3〜5回、止めやテンポ指定で股関節のはまりを作ります。
軽くても中足部上の軌道と胸郭の位置を厳密に合わせ、翌日の重い日の成功率を高めます。
技術期は痛みの早期発見にも役立ちます。
手順ステップ
1. 四半期の主局面を一つ選ぶ。
2. 週内に技術・筋肥大・最大を配分。
3. 目的ごとにRPEと回数を事前決定。
4. 速度低下と深さ逸脱の終了基準を用意。
5. 週末に中央値を更新して翌週へ反映。
よくある失敗と回避策
失敗1:粘り過ぎで翌週に響く。
→ RPE8で止め、バックオフで量を稼ぐ。
失敗2:休息不足で深さが浅くなる。
→ 目的に応じ2〜5分を必ず確保する。
失敗3:局面の混線。
→ 四半期の主目的を一つに絞り、指標を統一。
- 筋肥大期:相対強度よりボリュームを優先する
- 最大期:粘らず成功率を積み上げる
- 技術期:可動と合図の再現性を磨く
- 週末:中央値で平均ラインを再評価する
- 装備:ベルトとシューズは固定して比較する
更新と比較のしかた:週次・月次で平均を磨く
平均は動かすものです。
週次の小テストで現在地を確認し、月次レビューで設計を調整すれば、数字もフォームも同時に前進します。
停滞は欠陥ではなく、設計を見直す合図と捉えましょう。
週次の小テストの設計
5RMか8RMから推定1RMを算出し、相対強度へ変換。
同じ深さと合図で2セット行い中央値を採用します。
RPE・速度・睡眠・脚の張りを一行メモにしておくと、翌週の負荷決定が迷いなく進みます。
月次レビューで見る指標
直近4〜6週の相対強度の中央値、動画の深さ、トップセットの成功率、補助種目の総量を並べて俯瞰します。
中央値が横ばいでも、深さの再現や成功率が上がっていれば設計は良好です。
次の四半期の局面選択に反映します。
停滞への対処戦略
二週連続の停滞は、睡眠・休息・可動に原因があることが多いです。
トップセットを−2.5kg、総量を−20%に減らし、技術の止め指定で質を回復します。
三週目に更新が出やすく、出なくても動画の質が上がれば次の伸びに必ずつながります。
ミニ統計
- 一行メモ併用で負荷決定の時間が短縮
- 動画レビュー習慣化でフォーム逸脱が減少
- 中央値運用で小さい更新の継続性が向上
ミニFAQ
Q. 週に何回テストすべきですか。
A. 週1回で十分です。
練習の質を落とさない頻度で小さく確認しましょう。
Q. 体重が動く時期はどう見ますか。
A. 相対強度を主指標にし、絶対重量は補助的に扱います。
週次の二点推定と月次の中央値で設計する方式に改め、四半期で×0.08伸長。数字の不安が減り、練習の一貫性が生まれました。
まとめ
スクワットの平均は、体重・年齢・トレ歴・フォーム基準で大きく動きます。
だからこそ相対強度と中央値を共通言語にし、換算の誤差は範囲で扱い、動画と一行メモで文脈を残すことが重要です。
筋肥大・最大・技術を循環させる設計で週次・月次に小さく更新し、四半期で平均ラインを押し上げていきましょう。
数字をただ追うのではなく、同じ深さで比較し、安全を最優先にした一貫設計こそが、長く強くなり続ける近道です。


