順序を意識せずに急いで泳ぎ始めると、前半で酸素負債が膨らみ、後半の技術が崩れます。今日は、時間や目的に応じて崩れないウォーミングアップの組み立て方を、陸上と水中に分けて具体化します。
- 体温は「触れて温かい」まで上げる
- 関節は痛みゼロの範囲で大きく動かす
- 神経は軽い速さで目を覚ます
- 心拍は段階で上げて急降下を避ける
- 一本目から再現できる合図を決める
水泳でウォーミングアップを整える|初学者ガイド
ウォーミングアップは「体を温める」以上の設計が必要です。泳ぎの質を決めるのは、筋だけでなく神経の立ち上がりと関節の余裕です。ここでは原理を整理し、なぜ順序が結果を左右するのかを押さえます。目的が明確だと、短時間でも効果が落ちません。
体温はゆっくり二段で上げる:汗ばむ前に止めない
体温上昇は酵素活性と粘性低下を促し、筋の弾性を引き出します。最初の段は軽い全身運動で汗ばむ手前まで、次の段で泳ぎの動作に近い刺激を加えます。
この二段構えなら血流が安定し、一本目の呼吸苦を抑えやすくなります。
短い時間でも、歩行や軽いジョグで末端が温かくなるまで継続します。続いて肩周りと股関節に動的可動域を入れ、仕上げに短い速さを混ぜると神経のオンが早まります。
順序を守ることで、泳ぎ始めのぎこちなさが減ります。
心拍の段階化で酸素負債を小さくする
急な全力は酸素負債を増やし、乳酸の立ち上がりを早めます。低強度から中強度へ、さらに短い高強度で心拍を一度上げ、緩めて整えます。
「上げる→整える→使う」を意識すると、メインセットの最初から巡航域に入りやすくなります。
例えば陸上で2分の軽運動、水中でゆっくり200m、ドリルで200m、最後に25mの速めを数本。
この配列は心拍を段階で引き上げ、神経も目覚めさせます。
神経系のオンは短く速い合図で作る
長いダッシュは不要です。神経の立ち上がりには、フォームを崩さない範囲の短い速さが有効です。
25mのピリッとした刺激を2〜4本。テンポを上げても技術が崩れない速さで止めると、本番の再現性が高まります。
速さは量より質が重要です。呼吸が荒れたらやり過ぎのサイン。
一本ずつ動作の滑らかさを確かめ、次へ繋げます。
静的ストレッチは方向を選ぶ:動的と組み合わせる
静的ストレッチは長く伸ばし続けると瞬発力が落ちますが、角度の確認や可動域の端の感覚づくりには役立ちます。
動的ストレッチで準備し、静的は短く角度確認に使うと、可動域と出力の両立が図れます。
肩甲帯や股関節は「伸ばしながら動かす」ことが有効です。
円運動やスイングで滑らかさを出し、端の角度は短い保持で意識化します。
水温差と環境への慣らし:入水直後の工夫
水温が低い日は皮膚血流が落ち、力が入りにくくなります。入水前に末端を温め、入ってから最初の50〜100mは呼吸を深くしてリズムに集中します。
水温差に合わせて滑走を長めに取り、肩の前送をゆっくり増やすと身体が馴染みます。
寒い日の初速は求めすぎず、丁寧な前姿勢を作ることを優先します。
数分で感覚が戻り、速さを乗せやすくなります。
注意:アップで息を切らし過ぎると交感神経が過度に優位となり、メインの序盤でフォームが硬くなります。呼吸が苦しくなる前に切り上


